あの子は、わたし。

ホロコーストを演じた「いとしま8・6平和劇」

文・ささきあり

佼成出版社 2022年7月初版 1500円+税

福岡県糸島市で、平和劇の上演を続けている「いとしまハローピースアクト」。

市内の小中学校の先生が始め、子どもたち主体の活動に移行してからも、平和について考え、演劇にして伝えてきました。

長らく国内の戦争体験を中心に演じてきましたが、脚本と演出の馬場先生は平和を語る上でこを避けては語れない、と決意します。

それが、ホロコーストを題材にした演劇に取り組むこと。

子どもたちはヨーロッパや広島へフィールドワークに行き、資料を読むなどしてホロコーストについて知り、自分でどう表したらいいかを考えますーー。

今はネットを見ると、「あなたの好みはこれですよね?」というように、類似する見解が次々に提示されるようになっています。

そうして自分の意見と同じような考えに触れ続けたら、どうなるのでしょう。

違う考えをどのように受け止めるようになるのでしょう。

「分断」が起こる世の中で、わたしたちはどうしたらいいのか。

そのヒントが、いとしまハローピースアクトの活動にあるように感じました。

平和教育であり、人権教育でもあるこの取り組みを広く知っていただけたらと願っています。